キシ坊主の話し
月が煌々と輝く晩のことで親戚の家まで使いを頼まれました。
いつもの道を歩いていると、自分の前には月影があるのに後ろからも小さい黒い影が一緒に付いてきます。
子供心にもおかしいなあと思いながら、振り返り、振り返り歩いていると、すぐ後を歩いていたお婆さんが、
「いしゃあどうしただよーー」と声をかけてくれました。
「あたしの後ろから黒い影が付いて来るよー」と叫ぶように話しますと、私に近づきお婆さんは
近所の家に飛び込むように連れ込んでくれました。
家に帰りその事を話しますと、お母さんは黒い影の事が気になって次の日、若郷の拝みん婆の所に
供物を持って拝んでもらいに行きました。 拝みん婆はこう話したそうです。
その子は大三様で悪い悪戯をした。
渡ってはいけない橋を渡ったり、神様の鯉をいじめたりしただろう。
だから大三様の天狗がキシ坊主に姿を変えて取り憑いたんだと。
お母さんは家に帰ると、その事を子供に話して聞いてみますとその通りだったので、
すぐ大三様に御饌米とお酒を持って謝りに行ったということです。
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