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謎の榎

向畑の流人刑場入り口の左側に「法塔塚」が立っています。

その左に一本の榎が生え、そばに抗火石の墓石があります。

戒名が妙法啓岸霊位とあり、右に寛政十戊午年、左に十一月十六日と刻まれています。

この墓石は、流人清右衛門が三十一才で処刑されたとき「俺は無実だ。その証に榎を、榎を」と言い放って

死にましたが、間もなくして榎が生えたので、その霊を慰めるためにこの墓石が立てられたものです。

これにはこんな話があります。

清右衛門は、喧嘩出入りの罪によって島流しになりましたが、

島に流されたときには餞別にもらった金を少しは持っていました。

ある日のこと、いつものように豆腐屋に行ったが誰もいない。

清右衛門は銭を台の上において、豆腐一丁を掬いとって器に入れ店を出たところで

豆腐屋の主人と出会いました。

間もなく豆腐屋の主人が顔色を変えて飛び出してきて「おい、銭なんかねえじゃねえか」と

清右衛門の袖を捕まえました。

置いたはずのお金が無かったのです。

「そんな馬鹿なことが・・・」清右衛門はそう言いましたが銭はありませんでした。

今まで何回もそういう買い方をしたが、そんなことはありませんでした。

その日は銭がどこかに消えてしまったのでした。

清右衛門が主人と言い争っていると人が集まってきて間もなく役人もそこに来ました。

豆腐屋の主人は内分に済まそうとしたのですが時は遅かったのでした。

流人が島で再び罪を犯せば死刑です。清右衛門は豆腐を盗んだ罪で死刑と決まりました。

西風が強く吹き、海も荒れて寒い日だったそうです。

役人に追い立てられ刑場に連れてこられて坐りこんでいる清右衛門は、行刑人の金太にこう言いました。

「あれは盗んだんじゃねえ、俺は銭をちゃんと置いてきた」

金太は、「じゃあ誰が銭を盗ったんだ」

「それがわからねえ。何度も声をかけたんだが誰もいなかった」

「豆腐屋が嘘をついたんだろうか」「豆腐屋はそんな人間じゃあねえ。

豆腐屋が嘘を言うわけがねえ。店から罪人を出せば、後々よくないことぐらい分かっている。

本当に銭がなかったから怒ったんだと思う。」「それじゃあ思い違いじゃあねえのか。

銭を置いたつもりが置かなかったという・・・」「馬鹿なことを言うな・・・」
   
「銭を置いたつもりが置かないで店を出てきてしまったとすれば

お前さんにはもともと盗む気がなかったんだから罪は無い。ところで、お前さんは銭をどこに持っていた。

手の中に握っていたのか、それとも器の中に入れていたのか」清右衛門には、

はっきりした記憶がなかったのでした。

しかし、清右衛門は豆腐を盗むつもりはなかったことを何度も繰り返して言うのでした。

「おい金太。俺は死ぬのが嫌だとはいってねえ、信じてくれ俺は台の上にちゃんと銭を置いてきた。

だから無実だ。

俺が無実の罪を着て、この刑場で処刑にあったんだと、お前だけでいいから言ってくれ・・・」

しばらく沈黙が続きました。

「もういい、俺の首に縄をかけろ。無実の証に榎を生やすぞ・・・・榎を・・・・榎を・・・・」

金太は立ち上がって清右衛門の首に縄をかけました。そして力一杯縄を引きました。

罪を犯したとして罰せられる人間、それを裁く人間、罪の裁決のの解き違いを、

謎をそのままに今に伝える話です。

ゆかりでもあるのであろうか豆腐屋の婆さんは、今もこの墓に香華を手向けています。





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