新島の民話 オフクの墓
新島のアジヤ浦の崖下に小さな墓があります。これがオフクの墓です。
今、遠縁のものが時折お墓参りをすると聞いていますが、村人のほとんどの人が忘れています。
塚のある場所もわからないほどになっています。
昔、北村にオフクという娘がいました。
器量は人並みで気立ての優しい娘でした。
その頃、村には流人が多くいましたが、その中に力持ちの源蔵という男がいました。
怪力者の源蔵は人々から恐れられ、近づく人もあまりありませんでしたが、
オフクはいつしかその源蔵に心惹かれ、思いをよせた二人は夫婦の約束までしてしまいました。
しかし、これを知った両親はひどく怒って源蔵と逢うことを禁じてしまいました。
オフクは悲観にくれ一日中家の中に閉じこもるようになりましたが、あまりにも可哀想なオフクの様子に、
友達がある日のこと気晴らしにと思い宮塚山へ薪とりに連れ出しました。
さて、山に入り友達はせっせと薪を取っているのに、オフクは何もせず山の中を歩き回っています。
やがて薪を集めた友達は一緒に帰ろうと言いましたが、オフクは後から薪を集めて帰るからと言うので、
先に山を下りてしまいました。
ところがいつまでたってもおふくが帰ってきません。
心配になった友達は山に探しに行きました。
あちこちさがしてもどうしても見つからず、とうとうアジヤ浦の崖の上まで来ますと、
そこにオフクの草履がきちんと並べて脱いでありました。オフクはそこから海に身を投げたのでした。
それから数日してオフクの死体は三宅島に打ち上げられましたが、両親は娘の心を不憫に思い、
そこに小さな墓を作って手厚く葬りました。
それから何年かたったある日、宮塚山に材木を伐り出しに行った村人が、オフクの墓の辺りで赤ん坊の泣く声と、
それをあやす女の人の声が聞こえると言って、材木を伐らずに山を下りてしまったと言うのです。
今でもその近くに行くと、子供の泣く声とそれをあやす女の人の声が時折聞こえると言う噂が残っています。
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