海坊主と相撲を取る
昔ある一人の爺さんが、浜で腰を下ろして沖を眺めていると、
どこから来たのかのっぺらぼうのような男が「ヤイ、いん爺、相撲を取ろう」と言い寄り、
いきなり向かって来ました。
「この野郎」といって身構えると、とたんに大男は消えてしまいました。
変だなあーと思いながら腰を下ろすと「ヤイ、相撲を取ろう」とまたやっていきます。
爺さんは3、4回こんなことを繰り返すとカンカンに怒り、
何回も大男を掴まえようとしますがどんなこと掴まえられません。
そのうちクタクタに疲れ急に背中がぞくぞくして寒気がしてきました。
爺さんは怖くなって夢中で若い衆の宿に駆け込みました。
若い衆が爺さんの顔色を見て、いったいどうしたんだと聞くと今までのことを一部始終話し、
嘘だと思うならお前らも浜に行って相撲を取って来いと言うのでした。
とにかく爺さんの様子がおかしいので浜に行ってみますと、
大男はいるはずもなく爺さんの一人相撲の足跡がいっぱい残っているだけでした。
爺さんも薄気味悪くなり、すぐに巫女さんに拝んで貰いますと、その大男に相撲で負けていると
命はなかったと言われました。
村の人は、この海坊主のことを「浜なり小僧」とも呼んでいます。
|